医学生は医師国家試験に合格して医籍に登録すると医師になれます。医師になったら勉強が終わりかというと、そんなことはなくて仕事をしながら勉強しなければなりません。

専門医取るか?取らないか?

普通の医師であれば専門医を取ります。専門医とは内科専門医、外科専門医、産婦人科専門医などなどがあります。

要はその領域で一人前の医師者であるとのお墨付きがあることを示す資格です。

ただ、専門医をもっているからといって実際に臨床能力があるかどうかは別物らしいです。まあ、しかるべき施設でしかるべき疾患を経験して然るべき勉強をすれば取れる資格であります。運転免許のゴールド免許と同じかもしれません。運転はできるが上手いかどうかはゴールド免許ではわかりません。でも、一定年数は無事故無違反であった証になります。

医学生の高学年ともなると自分の進路を考え出します。自大学に残って研修&入局するか、はたまた、別の自大学のエリア外で研修をするかなどです。

ここ数年でこの専門医制度がガラッと変わりました。正直なところ、制度が難しすぎてよく理解できません。自大学に残り、どこかの医局に入るならばそこまで気にしなくてもいいかもしれませんが、遠方の医学部にいて、将来地元に帰るひと達はかなり慎重にならざるを得ません。

なぜなら、都道府県によってはその科に余剰人員がいると認定されてしまったら、専門医を取るための研修が受けられない可能性があるからです。

例えば『東京で耳鼻咽喉科の専門医を取るための研修に申し込めるのは毎年○○人まで』のように決められてしまいます。その人員の枠は大学病院を中心とする研修可能な病院に割り振られています。なので、まずは東京の当該病院で初期研修をすることが採用される近道になりそうです。もちろん、初期研修をその病院でやらなくてもコネなどで採用されれば問題ないでが・・・。

厚労省と既得権益の戦い

新専門医制度といい、初期研修のマッチングシステムといい、厚労省VS既得権益をもつ大学医局や日本医師会との戦いが裏に隠れている感じです。

厚労省は医師の地域偏在と診療科偏在を解消したい&大学医局の権力を無くしたい・・・と思惑なのだと思います。

逆に大学医局はマッチングシステムで安定的な新人医師の確保が無くなってしまったので専門医制度を使って復権を狙っています。

なので、本当の主役である医学生や初期研修医はないがしろにされている状態です。

厚労省は『制度さえ作って文句言う既得権益層を黙らせば思う通りに行くと思っている』と感じます。

制度を作るのはいいのです。日本の未来の医療のために頭の良い官僚が考えた策なのですから・・・しかし、最終的にそれを実際に行う医学生や初期研修医にもっと啓蒙したり情報連携したり、そもそも制度設計において医学生&初期研修医の考えを取り入れる考えはないのかな・・・と思います。

専門医機構を納得させるよりも、医学生&初期研修医を納得させた方が話が早いですし、なにより厚労省の思惑通りにことが進むと思うんですが・・・だって医学生はそういうことに関しては関心が浅いですし、興味がない人が多いです。『周りが良い』と言っているほうにくっついていく人ばかりですからね。