医学ネタ

CTを撮ったら5,000円以上はお金が必要になる

CT撮影にかかる費用

CT撮影にかかる費用の概算

いまや不調があって病院に行ったらバンバンCTを撮影する時代になっています。このCT撮影の関わる費用について考えてみました。

当記事はあくまで一般的な医学生が書いたものですので、間違っている点もあると思います。詳細は自分で調べ、この記事では概要だけをつかんでもらうようにお願い致します。

基本的事項

医療費というものはすべて厚労省が主導になって決める『診療報酬』というものですべて決まっています。ただし、これは医療保険を使う場合に限ります。医療保険を使えば(年齢等によって異なりますが)診療点数に10をかけた額の3割が患者の実際の負担になります。

この診療報酬という考えの対局にあるのが自由診療における医療費です。自由診療だとすべての値段が設定者の自由となります。少し前に流行った『血液クレンジング』なんてのも自由診療なので、100万円の値段をつけようが、100円の値段をつけようがクリニックの自由です。

今回のCTの値段も医療保険を使った時のお話になります。

造影するか否かで変わってくる

CTといっても色々あります。大きくは単純CTか造影CTにわかれます。造影CTというのは血管から造影剤を入れて撮影するものです。血管に入った造影剤が放射線に反応して画像の濃度が変化します。血管が詰まっていたり、腫瘍の大きさや位置がわかったりします。腫瘍というのは血流が豊富なので周りの組織とコントラスができます。

単純CTだと機械の上に寝転んで撮影するだけですが、造影となると造影剤を入れる血管のルートを設置しなければなりませんので手間は多いです。また、造影剤に対するアレルギーがあったりすると大変なことになりますので、それに対するリスク管理も必要となってきます。また冒頭で示した画像にある通り、造影CTの場合は造影剤の値段が含まれます。これが約1,000点なので医療費としては10,000円(3割負担で考えると3,000円)となります。薬だけで3,000円負担と考えるとけっこうな値段になりますね。

放射線科医による診断料

撮影したCT画像は電子カルテに保存されます。もちろん、担当している医師もチェックしますが、CT撮影するような一般的な総合病院では放射線科の医師が診断をします。放射線科の医師は主に放射線画像の診断する医師、放射線を使った治療を行う医師に分かれますが、画像を診断する医師が画像診断します。

放射線科医の読影(画像を読むこと)は1ミリの異常を見分けるくらいに優れていますが、画像データだけではそれが腫瘍なのか悪性腫瘍なのか等を完全に判断することは難しいです。

放射線科医は、担当の医師が得た問診データ等を含んで画像診断していきます。そして、担当の医師はその画像診断の結果と自分の診察結果や他の検査などを総合して診断していきます。

放射線科医がいない病院の場合、他の病院や画像診断を専門にしているフリーの画像診断医などに読影を依頼したり、自分たちで読影します。

画像診断料は4,500円ですが、画像診断はけっこう重たい業務と責任があると思うのでちょっと安いかな・・・とは思います。

DPCによるCT撮影の場合

DPC(Diagnosis Procedure Combination;診断群分類)というものがあります。これは『特定の疾患については出来高払いと包括払いにします』という制度です。もっと簡単に言うと『急性虫垂炎(いわゆる盲腸)』の場合は医療費が固定で◯◯円です』というような制度です。例えば、何日入院しても、滞在中の血液検査を何回しても、CT撮影を何回してもこれらの包括部分の金額は一定となります。なのでこのDPCに該当する疾患の場合、病院はなるべく入院日数を短く、検査は最低限にするように努めます。しかし、部長などのベテラン以上にならないとあまりコスト感覚は無さそうなので若手の医師はあまり考えていない人が多そうです。救急外来などに行った場合はDPCとは関係がないと思いますので、撮ればとるほどお金がかかると思います。

これはCT撮影だけの金額

今回ご紹介したのはCT撮影に関わる金額の概算です。ですので、この他にも血液検査すればそれば別途かかりますし、初診料などの基本的な料金などもありますので、それなりの金額になると思います。一般的に、医師はあんまりかかる費用のことを患者さんには言わない傾向があるように思います。恐らく、金額に関わらずやらなければいけない検査はやるので聞くあえて話す必要がないと考えているのかもしれません。かかる費用を患者に告げて『そんなにかかるならやらない』と言われたら面倒といえば面倒です。なので、それなりの金額がかかる場合に患者に概算の費用をきちんと伝えてくれる医師は誠実な医師なのかもしれません。

 

揺れる医学部地域枠制度

やっと全国統一的な医学部の地域枠の制度ができる模様です。

現状の地域枠制度運用

主に地方の国公立大学には『地域枠』という入学選抜経路があります。現役生中心のAO入試型のものもありますし、一般入試の枠として地域枠を設けている大学もあります。

地域枠というのは正式に定義されていませんでした。漠然と『卒業後、10年前後その大学のある都道府県で医師として勤務する必要がある入試制度』というものがあって、細かい運用については各大学が各々行ってきました。

ある大学は地域枠と奨学金がセットになったりする一方、ある大学は奨学金がセットになっていない・・・というものがあります。医学部における奨学金は月10〜30万円くらいのかなりの額になります。そして、卒業後、一定の期間(だいたい受給した時間の1.5倍=9年が相場)を貸出者の指定する地域や病院で勤務することで返済が免除されます。つまり、地域枠であると卒後9年はその地域に縛られるので、奨学金がセットになってるか、なってないかで1,000万円前後の収入の違いが生まれます。どうせ地域に縛れれるなら1,000万円もらいたいのは普通の人の感覚じゃないでしょうか?

地域枠の逃亡者

各大学の卒業者で毎年一定の人数が『地域枠の呪縛』から逃亡します。自分の大学でも毎年2〜3名の逃亡者がいるのを先輩から漏れ伝わってきます。

本来、採用してはいけない地域枠の学生を採用してしまうと、その病院に国からの補助金が支払われないようになっているようです。昔は厚労省が『採用しないように!』という号令だけかけて、あとは病院まかせだったらしいのですが、最近は医学部における就活であるマッチングを行う際に、地域枠は特定のIDが交付され、それをもって逃亡できない仕様になりました(制度導入当初からやるべきだったんじゃないの?と思います)。

しかし、地域枠逃亡裏技(詳しくは知りませんが、1ヶ月だけ働かなきゃいけない地域で働いて、すぐに退職して別の病院で初期研修を再開するとできるみたいです)がようで、毎年逃亡者があとを絶たないようです。

地域枠の学生の声

地域枠の学生が口を揃えていう文句は『法的根拠のない地域枠制度に断固反対する!』です。

確かに法的根拠はないのでしょうが、それでは何故に非地域枠の入試経路で入学しなかったのでしょうか?法的根拠云々の前に、自分自身が非地域枠では合格できないから、比較的簡単な地域枠を選んだのではないでしょうか?『定員がすべて地域枠』のような医学部であれば、その主張はまだ理解できるのですが、そのような大学はありません。

こういうことを言うと『18歳のまだ未熟な社会もしらない高校生の将来を縛るのはかわいそうだ。』のような声が上がってきます。一見もっともそうな意見ではありますが、ほとんどの医学部の学生は親と相談して受験をしていますし、高校生だって地域枠の方が簡単だけど将来の幅が狭められる事くらいは理解できます。確かに医師の社会では将来の幅が狭められるのは非常にストレスなことだと思いますが、それとこれはまた別の話です。

恐らくなのですが、地域枠を逃亡するような人の未来は明るくないでしょう。そういう人は初期研修先の病院でも文句を言っているでしょう。『こんな労働時間が長いと思ってなかった。』、『医師の仕事がこんなに辛いとは思ってなかった。』などなど。

自分と同じ大学の同期でも学生の時点で既に公に『逃亡宣言』している学生もけっこういます。『初期研修2年終わったら速攻で逃亡笑』とか『何とか逃亡してみせる』とか『大学側を説得する』と豪語するものもいます。

逃亡するのに一番適しているのはUSMLEを取得してアメリカで医師として働くのが良いと思います。ここまで苦労してまで逃亡したいならさすがに納得する人も多いと思います。

先日のニュースで『3年目以降の専門医研修で地域から逃亡した者は、逃亡先で専門医要件を満たしても専門医として認めない』というものがありました。逃亡予定の地域枠学生には痛い話だと思います。

今回の地域枠の定義決定や医学部の定員の話し合いの中で、やっと地域枠の学生が逃亡できないような制度になりそうです。確かに今までは曖昧な制度のもとに運用されてきたため『逃亡も正義』というスキを与えていましたが、正式な制度となることで本来の地域のための地域枠になるのではないかと思います。

ハイパー病院は本当にハイパーなのか?

自分も相当な数の病院見学をしていますが、Dr.盛永の30以上の病院見学には勝てなかった・・・。やはり上には上がいるんですね。

ハイパー病院って本当にハイパーなのか?

日本でも有数のハイパー病院に見学に行ってきましたが、はっきり言って『そこまでハイパーではありません』でした。

もちろん、ハイパーとかハイポというのは個人の感覚であり、人によってその感度はまちまちです。

でもまあ全国でも有名なハイパー研修病院であれば、一般的にハイパーと言ってもいいと思います。このような病院でも『本当にハイパーではない』と思いました。確かに普通の研修病院の2倍、3倍程度は業務の量があるとは思いますが、それなりに休みはありますし、当直だって毎回一睡もできない・・・なんてことはありません。

全国的までとはいかないまでも、関東で有数のハイパー病院にも見学に行きましたが、こちらは全然ハイパーではありませんでした。確かに忙しい期間(診療科)はあるのですが、それは数ヶ月だけで、それを乗り切ってしまえば、どちらかといえばハイポ気味な感じでした。

結局何が言いたいかというと『ハイパーかどうかは自分の感覚次第だし、噂レベルの病院の情報は殆ど無価値で信じるに値しない。自分で病院を見て判断するしかない』ということです。

自分は全国的に有名なハイパー病院が合っていると思ったのでそこをマッチングで受けようと思います。冒頭のDr.盛永の動画にもあったように、最近はハイパー病院の人気は下がり気味です。なので競争率もそこまで高くないので自分にとっては良い状況です。

”ハイパー”がハイパーでないと思う理由

今まで見学した病院の中で研修医が昼飯を(慢性的に)食べれないという病院はありませんでした。もちろんたまにタイミングが悪かったり、忙しかったりすると食べれないような時もあるようですが、あくまでたまにですね。

病院見学に行くときはだいたい、9時〜17時は病棟や手術室中心に見学をし、17時以降はER室に行って当直帯を見学します。その際に、付いた研修医の先生に夕飯をご馳走してもらいます。だいたいは弁当を宅配してもらうことが多いです。ということで、だいたいのER当直でも夕飯を食べる余裕は研修医にあります。もちろんこれもたまには緊急性の高く時間のかかる患者が搬送されれば夕飯を食べれない・・・なんてこともあります。

『ハイパー病院の研修医は2週間家に帰れない』なんて話もよくある話であります。これはなんとも言えないところではあります。なぜなら『ハイパー病院の多くは研修医寮が病院に併設されている』ことが多いからです。併設されているので、いくら忙しくても家には帰れる状況です。これを”帰れない”と考えるか”帰れる”と考えるかは難しいところです。

休日に関しても最近は働き方改革や労基署の監視の目の厳しさを相まってかなり取れるようになっているようです。一年に休みが片手程度しかない・・・なんていう研修病院はほぼ皆無といっていいと思います。だいたいどこの病院も少なくとも週に1日は休日を取れていると思います。

以上のことからして、自分は一般的にハイパーと言われている病院をハイパーとは感じません。忙しいことは確かですし、決して楽ではないですが『ハイパー』というにはちょっと物足りない感じがします。しかし、研修病院としてはこれくらいの業務負荷や勤務環境が良いと思うので、自分は一般的にハイパーと言われている病院で働きたいと思います。

三重大学医学部の新型コロナクラスター発生を考える

三重大学医学部で初となる本格的な新型コロナウイルス感染のクラスターが発生しました。

三重大学医学部のクラスター発生

新型コロナウイルスが発生以来、医療者は奮闘しており、各種メディアでは『医療者に心無い発言や対応する事象』が生じているのは嘆かわしいことだと思います。
今回、三重大学の医学部で本格的なクラスターが発生してしまいましたが、この件について、学生が大学の行動指針に従い、個人防御を徹底していたならば責められる理由はないと思いますが、そうでないならばメディアや国民からの追及は厳しくなると思われます。実態はどうであったかは今後明らかになるのかもしれません。

医学部でクラスターが発生するということ

医学部でクラスターが発生してしまうことは非医療者が考えている以上にウイルスの蔓延リスクがあると思います。恐らく、医療者でさえ軽く見積もっている可能性もあります。事実、当該医学部生たちをメディアからのバッシングから守るために情報開示に反対しようとしている人々もそれなりの人数います。確かに、必要以上に責められるべきではないと考えますが、情報をシャットダウンしてしまうと、市民県民は暴こうとしますし、それがエスカレートすれば必要以上の攻撃が想定されます。また、情報非開示により医学部間での情報共有も貧となり、医学部におけるクラスター発生防止にもマイナス影響です。恐らく、全国の医学部長や病院長はこの件に注目しており、これを自組織にも発展的に組み入れようとしているでしょう。そうでなければ、万が一、自分たちの医学部でクラスターが発生した時に『三重大学の件で学んでいないのか?』と言われてしまいます。自分でもそう思います。

さて、医学部にクラスターが起きるとどういうことが起こるでしょうか?

まずは学生間で蔓延が生じます。今回の事例はクラスター発生後、わりとすぐに夏休みがはじまったため蔓延は最小限になっていると思います。しかし、これが長期休暇以外の時期であればあっというまに蔓延します。三重大学医学部がどいういう運営で授業や部活動を行なっているのがわからないのでなんとも言えませんが、医学部というところは閉鎖的なコミュニティであり、大学内、部活動などで学年問わず密に触れ合うので蔓延は不可避だと思います。自分の大学で考えてみると、図書館、PCルーム、学食、部活動が接触可能性が大きい要素です。自分は実習中であるのでマスクを常に装着していますが、1~4年生や実習をしていない5~6年生はノーマスクが主流です。

医学部は閉鎖的なコミュニティと話しました。多くの医学部は医学科と看護学科や保健学科を併設しています。いずれの学科も病院実習があります。病院実習は自分たちの大学病院だけに限らず、近隣の基幹病院にも実習に行きます。三重大学医学部の状況はよくわかりませんが、県内の基幹病院の多くに実習生を派遣していると思われます。これも夏休みの時期に重なっていたため、基幹病院への波及は限定的と考えられます。

さらに、医学部のコミュニティにいる者、特に医学科の学生の多くは医学科同士、医学科と看護学科と付き合うことが多いです。学生同士だけでなく、学生ー研修医で付き合うことも稀ではありません。であるから、医学部内での蔓延は早くなりがちですし、下手をすると感染学生が少し離れた基幹病院の付き合っている研修医と会って感染・・・ということも考えられます。

夏休みで感染の広がりが限定的になったのは良いのですが、夏休みは夏休みで医学部の学生には『病院見学』『マッチング面接』などがあり、各々が全国各地の自分が勤めたい病院へ行きます。自分もこの夏に流行地域含め多くの病院を訪れる予定です。もし自分が知らずに感染してしまったと考えると恐ろしい限りです。

以上のように医学部でクラスターが生じることと、繁華街のバーやキャバクラでクラスターが起こるのでは、問題の質が異なるのは明らかと言っていいかもしれません。

感染経路や詳細や真相の解明を

現在は三重県の発表により感染経路等の全体像はわかっています。しかし、感染学生たちの細かな状況は明らかになっていません。

学生たちのプライバシーには十分配慮する必要はありますが、どこでどのように感染してしまいどうやって感染が広がったのか?を解明することは大事だと思います。

『政府がGo to キャンペーンに舵を切ったのだから、ルールに乗っ取った旅行で感染しても責められるべきではない。』というのはその通りなのですが、政府が感染を許容している訳ではないです。いまは新しい生活様式というまだルールの定まっていない時代に突入しようとしています。例えば、『医学部の学生は例え流行地域に行ってないとしても県外に出て帰って来るときは2週間自宅待機』のような少し厳しめの行動規制が必要かもしれません。

今回クラスターとなってしまった学生たちが責められるべきであるか否かは良くわかりませんが、今回の事態の解明が今後の全国の医学部運営にもプラスに働くと思われるので全容の解明を期待します。

コロナ下での病院見学の現状

コロナの感染次第で病院見学の中止や再開がされています。

2020年7月19日現在

東京や大阪を中心にまたコロナ感染者が増えています。これにより都内の病院は病院実習の中止をはじめています。千葉、埼玉、神奈川などの首都圏の病院はまだ様子見という状況で受け入れているところも多い印象です。

自分は8月に某有名病院の見学予定を入れているのですが、そこから『東京の医学部に通う者、東京在住の医学部生は病院見学を控えてもらう』という趣旨の連絡がきました。自分はこれには該当しないので見学にいけるのでよかったです。

令和2年のマッチング

こういう状況なんで東京在住の医学部生は東京の病院にマッチングする可能性が高いのではないかな?と思います。東京外で病院見学もできないし、採用試験も受けるのが難しいと思います。

なお、今年のマッチングはZOOMなどでWeb上で面接を行うところも多いみたいです。ウェブ面接だと面接官も評価するのが難しいと思うので、提出する書類をベースとしてあとは見た目の第一印象で決まってしまうような気がします。

そうなると、病院見学で採用担当者のドクターと顔見知りになっているのはかなりアドバンテージなのかもしれません。書類ベースの優秀者より、実際会ってみた方が医師としての適性が測れると思います。

そう考えると、非東京大阪の在住者は東京、大阪以外の病院ならば例年よりも採用される可能性が高いかもしれません(病院見学をしている前提)。なぜなら、今年は東京大阪の優秀層が東京大阪に留まる傾向が高くなりそうだからです。

この流れはあと2~3年は続くかもしれません。

病院実習開始で垣間見える人間の本性

もうすでに全国的に医学部生の病院実習は再開しているところがほとんどです。が、ついに北里大学医学部で医学生がコロナに感染したそうです。

病院実習

医学部の高学年(5年生、6年生)では病院で実習を行います。今回は実習における”実習班”について書いてみます。

まず、実習班は5〜7人くらいで構成されています。定員などが大学によって違いますし、留年している数が多かったりで班の人数は大学により、学年により多少違ってきます。

この実習班がどうやって決まるかというと、だいたいが学籍番号順で男女と留年生割合とかを勘案しながら決まっていくと思います。

この実習班で大学病院の各科を1週〜4週かけて順繰りにローテーションして実習していきます。通常、5年生が大学病院で6年生で大学病院か大学病院外の市中病院を実習することになります。

実習で見えてくる人間の本性

よく医学部では『病院実習回っていると今まで普通だと思っていた人の本性が出てきてビックリすることがあるよ。』なんて言われています(少なくとも自分の大学では)。

自分の実習班のメンバーは真面目でまともな人間しかいないと思っていました。実習が始まる前と始まってすぐぐらいまでは・・・。

そうなんです。やっぱり、普通でまともだと思っていた人の本性がそうではなかったのです。

とある人は、4年生までは普通に真面目な人だったんですが、とにかく実習は楽をしたいらしく、どうにかして自分が楽になることしか考えていません。とある診療科を回るときに全員が同じ手術や手技や検査をみるわけではないです。診療科はグループ(産婦人科でいえば腫瘍グループ、不妊グループ、産科グループなど)に分かれています。なので、学生もこのグループ毎に振り分けられます。当然、楽な科と忙しい科があります。

そこでこの”楽したい人”はなんとしても毎回楽なグループに行きたいのでこう言います、

わたし、この科のグループに将来進もうと考えてるから優先して!!

一回くらいならいいのですが、基本的に毎回言います。毎回言うから誰も信じてないよってのがわからないみたいです。で、毎回その申し出は却下されてアミダくじとかで決めるのでハズれると怒り出します。

もう付き合いきれないのであまり関わらないようにしています。

ゆずらない男

毎回アミダくじでグループ決めをするのですが、2連続で忙しいグループに当たるとキツイのは確かです。完全に「くじで決めたから・・・」ということで2連続忙しいグループになった人を見放してもいいのですが、実習は助け合い、たまには交代してあげたいというのが人の情です。

しかし、とある30歳オーバーの自己中男は違いました。

自分が忙しい時に変わってもらった相手が2連続で忙しいグループになった時に変わってあげなかったのです。ついに、自分は変わってもらったのに一度も他の人と変わることはありませんでした。

それに加え、アミダくじや決め方のミス(結構決め方が複雑になってしまう時がある)を突いてきて、自分の意に沿わない結果になった時に再調整をコールしてきます。

再受験生と学士編入

こういった病院実習で悪い本性が垣間みえてしまうのは残念ながら再受験生と学士編入生に多いです。本来、年齢を重ね、大人のしての余裕があるはずなのですが、実際はそうではないケースが多いです。

もちろん、再受験生や学士編入生でも立派な人はいますが、割合としてはダントツで高いです。

もちろん、再受験生や学士編入生以外の若者でもしょうもない人も多いですが・・・。

後期研修を見据えた病院見学

もう既に病院見学を10以上してきました。すればするほど新たに見えてくる世界があるのでけっこう面白いです。

初期研修先としての病院探し

医学生における病院見学とはつまり初期研修先の病院を見定める行為であると言えるだろう。これが初期研修医になると後期研修の病院探しとなる。

初期研修医はおしなべて忙しいものである。であるからして初期研修医をしている時にに後期研修医先の病院見学に行っている時間はあまりないと言えるだろう。

だから、医学生時代に後期研修医を見越した病院見学を行なっていくことは非常に重要である。

でないと『後期研修よくわからんから、大学の医局に入るかなぁ・・・』なんて思考停止に陥りかねない。

後期研修とは

後期研修とはつまり専門医を取る過程であると言えるだろう。

後期研修を行うには各都道府県に割り当てられた診療科ごとのプログラムに登録しなければならない。

ここで難しいのは全ての病院の診療科がプログラムを持っているわけではないということなのだ。

プログラムをもつためには指導医の人数や施設の基準などがあり、これを満たさないとプログラムが認可されない。

通常、基幹病院と連携病院というグループに分かれており、基幹病院がプログラム責任施設となり連携病院を束ねていくことになる。

この基幹病院とか連携病院というのは病院単位ではなく診療科単位で認められる。つまり、◯◯病院は内科、外科、産婦人科、小児科の基幹病院ではあるが、整形外科、麻酔科、泌尿器科は連携病院である・・・ということが生じる。

ということは、初期研修先が自分の行きたい科の基幹病院であると、後期研修医として採用の確率はほぼ100%だし、なにしろ引っ越し等が必要ないので公私共々シームレスな移行ができる。

基幹病院と大学医局

都心部の有力大学(東大、京大、阪大、九大、東北大、慶応)などは有力病院を関連病院として影響力をもっている。だから、特に東京などで後期研修をするならば大学医局に入局した方が何かと便利そうではある。もちろん、大学医局に入らずともプログラムには申し込めるであろうが、医局員の方が有利だろう。

特に、都心部のマイナー系(皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科)などはシーリング(都道府県に割り振られたプログラムの定員)があり、プログラムに採用されるのはかなり激戦である。そもそも、マイナー系プログラムは大学病院か大学病院に準ずるような規模の市中病院にしかないのだ。この市中病院もほとんどが医局絡みであると考えられるので首都圏でマイナー科の後期研修医になるなら入局は必須と考えられる。そうでない穴場があったら教えてもらいたい。

これが地方となるとぽつりぽつりと大学とは関係のないマイナー科プログラムがある。もっと田舎になるとほとんどすべての診療科で入局が必須となる状況である。

入局を考えない医学生

医局入局を考えていない学生は医学生時代にしっかり後期研修を見据えて病院見学をする必要がある。もっといえば、医学生時代に後期研修のための病院見学をするべきである。

 

体液電解質異常と輸液

コロナにより病院実習がビデオ講義になり、時間が相当余っているので、普段なら読まないであろう教科書的なものをたくさん読んでいます。

体液電解質異常に詳しくなる

某有名医師ブログで研修医向けに紹介されていた「より理解を深める!体液電解質異常と輸液 改訂2版」神戸大学腎臓内科・深川雅史監修・東京大学腎臓内分泌内科・柴垣有吾著・中外医学社・2006年を読んでいます。

チャネル的なイオンの動態は嫌いなのですが、腎臓における電解質動態には興味があったので非常に面白く読んでいます。

著書の半分はナトリウムとカリウムの動態とそれによる疾患が解説されています。人体における最重要イオンはナトリウムとカリウムみたいです。

この二つのイオンの動態が人体での水分移動だったり尿排泄に大きく関わるのですが、シンプルだけど非常に奥が深いです。

例えば「脱水」という症状でも単に血管内の水分が単純に減っているのか、細胞内の水分が抜けてしまっているのか?で大きく分かれています。

また、膠質浸透圧と張度という別の概念があるのですが、正直これを本当の意味で理解しているかは疑わしいです。

血管内と血管外

膠質浸透圧というのは血管内での浸透圧であり、張度というのは血管内と間質を合わせた浸透圧ということなのだと思います。体内の浸透圧を考える上で大事なのは細胞内、間質、血管内の3つのコンパートメントに分けることだと思います。

このうち細胞内vs間質+血管内での浸透圧を考えるのに使うのが張度で、細胞内+間質vs血管内で使うのが膠質浸透圧・・・なのでしょうか?

ここら辺がわかっているようで、わかっていません。

足の浮腫と脳の浮腫

足がむくんでる・・・なんていうと「足の浮腫だね!」なんて思います。実生活でもままあることだと思います。一方、脳浮腫というのはあまり実生活では聞きなれない言葉です。

実は浮腫にも2種類あるようです。

間質の浮腫と細胞内の浮腫です。足のむくみは間質の浮腫、脳浮腫は細胞内の浮腫です。

間質というのは簡単にいうと筋肉とか脂肪とかです。なので、水がたまってしまっても、そんなに問題ないかな?なんて思います。一方、細胞内に水が溜まってしまうと「細胞破裂?」が起こりそうでマズイ状態か?なんて思います。

いずれにしても、浮腫にも2種類ある、という知識を得られたことは大きいです。さらに本を読み進めて電解質に強くなりたいものです。

ドラマ”仁 JIN”から現代医療を考える

いまさら感もありますがアマゾンプライムでJIN-仁-を視聴しました。正直面白かったです。こんなに面白いとは思っていなかったです。

以下ネタバレ注意です。

脳外科医の南方仁

現代に生きる脳外科医の南方仁(医師14年目)は公園で頭部に重傷を負った急患を対応する。診察を進めていくと脳内に腫瘍があることに気づき、緊急開頭オペが始まります。

手術は成功に終わるのですが、腫瘍そのものが非常に奇妙でした。

なんと、胎児様の腫瘍だったのです。

術後、その胎児様腫瘍の入ったビンを眺めていると研修医から「開頭手術した患者が逃げ出しました!」との報告を受けます。

患者を探し回る南方仁は非常階段でその患者を見つけます。患者は救急対応バッグとなんと胎児様腫瘍が入ったビンを持っていたのです。

患者ともみ合いになり、ビンが投げ出されます。ビンをキャッチしようとした南方仁は階段を転げ落ちます。

そして、気づくと森にいて、なにやら人の声が聞こえます。

その声に向かっていくと、なんと着物を着たちょんまげ姿の侍が複数人いました。

時代劇の撮影か何かと勘違いした南方仁は侍に駆け寄りますが・・・

と、いう感じで南方仁がタイムスリップします。

第一話の感動名セリフ

第一話で恭太郎という侍の頭部外傷を手術するのですが、この場面が現代に生きる医者、特に外科医にはグッとくるものがあるのではないでしょうか?自分はまだ医者でもなにでもないですが、妙に心に深く刺さりました。

江戸時代の手術道具もなにもない中で南方仁はこう自省するのです。

「満足な道具も薬も無い中で手術をしている。とても簡単な手術がいまなら青息吐息だ。これまで手術を成功してきたのは俺の腕じゃなかったんだ。いままで誰かが作ってきてくれた薬や施設、知識だったんだ。そんなものを無くした俺は痛みの少ない縫い方ひとつ知らないヤブだ。14年も医者をやって俺はそんなこともしらなかった。自分がこんなにちっぽけだったことを俺は知らなかった。謙虚なつもりだったけど、俺みたいなヤブができる手術だけ選ぶなんて、考えてみれば随分ふざけた話だ。」

医者に限らず現代に生きるすべての人が立ち返って深く考えるべきテーマなのではないでしょうか?

スマートフォンやパソコンがあればなんでもできてしまう時代です。ハイテク機器があれば、知識なんかも覚える必要すらなく親指ひとつで得られることできる時代です。

でもそれはわたしたち自体が進化したのではなく、あくまで機械がやってくれているのです。

最新テクノロジー依存

自分は何でもかんでも最新テクノロジーを活用して、物事を効率化するのは好きでありません。

Apple Pencilは便利ではありますが、やはりペンで紙に書くという行為や感覚が好きです。たとえそれが非効率的だとしても。

全くテクノロジーを受け入れない生活はこの時代で生きるには不可能です。なので、少しずつ、ゆっくりと受け入れていくのが良いと思っています。

未来を生き抜く免疫パスポート

日本のコロナ情勢も一段落ついたのでしょうか?しかし、依然としてウイルスの脅威がどれほどのものかはわかりませんし、ワクチンや特効薬開発も進んでいない今日この頃です。

免疫パスポート

新型コロナに罹患して回復した人だけがもつというコロナウイルスの抗体。これがキチンと新型コロナウイルスに対して抗体として働くのであれば、この抗体をもっているひとに対して免疫パスポートを発行してもいいと思います。しかし、いまアメリカなどで検査して認められている『新型コロナの抗体』は再度罹患したときに正常に働くかどうかは未知数と言われています。ですので、現段階では抗体が検出されたとしても免疫パスポート的なものを発行する意味は薄いと思います。

新型コロナ罹患パーティー

アメリカなどでは抗体を獲得するために敢えて新型コロナに暴露されるパーティーに参加するひとが増えているようです。緊急事態宣言で就業がままならない人たちにとっては経済のストップは死活問題であり、さっさと新型コロナに罹患して抗体保有してしまった方が仕事ができるじゃないか!!ということなのでしょう。確かに気持ちはわかるところです。自分も自分が死なないという予測が立つなら(実際は予測など不可能)効くか効かないかわかりませんが、さっさと抗体を持ちたいです。しかし、日本の現状を考えると積極的に抗体をもつ必要性もまだ感じないところではあります。

新型コロナの遺伝子変異

さて、自分としては新型コロナ罹患パーティーなるものは反対派ではあるのですが、そういうことを行なっている人たちを非難することもできないです。なぜなら、ウイルスというものは変異するものであり、新型コロナとてウイルス。この先、凶暴なウイルスに変異するのかただの風邪ウイルスにトーンダウンするのかはわかりません。もし、凶暴なウイルスに変異した時に、変異する前の新型コロナウイルスの抗体を持っていると重症化しない・・・としらどうでしょうか?現に日本をはじめアジアの地域では欧米に比べて罹患率も死亡率も低くなっています(データに信頼性が高く無いので諸説あると思いますが)。これについては元々もっている遺伝子によるもの、幼児期にBCGを投与しているなどなどありますが、新型コロナが中国で発生されたものとされていることを考慮すると、もともとアジアに存在していたコロナウイルスに対する抗体をアジア人は保有していた・・・と考えられます。コロナウイルスにも色々な株があり、アジアに多く存在する株に常に罹患しているアジア人は新型コロナウイルスに耐性があると考えても矛盾はしません。

新型コロナパーティーは悪か?

やはりどう考えても効くか効かないかを考えなくても、新型コロナの抗体は欲しいところです。ウイルスの悪性化次第によっては、いま罹患して回復したひと以外は更なる死亡率を叩き出す”新型”新型コロナウイルスと対峙しなければならなくなると思います。こう考えると、いま病院の最前線で診療に当たっている医療関係者は無症状の罹患者も多くいると思うので、”新型”新型コロナウイルスに対して協力な武器を持っているのかもしれません・・・。