医者は全国で30万人いる企業『株式会社医療村』に就職している・・・というお話で前回は終わりました。今回はその続きです。

大学医局というパワーワード

よくいう”医局”というのは狭義の意味では『病院内で医者が滞在する休憩所や待機場所』を指します。

しかし、一般に医局というと大学病院のそれぞれの科の組織自体を指します。また、医局に所属する人を医局員と呼びます。医局は大学の教授(例えば消化器外科講座教授とか)がトップにいます。その下に医局長やら医長やら医員がいます。

この医局というものは民間企業でいえば『人事部』と考えていいでしょう。教授は人事部長です。医局に所属する人たちの人事権を握っています。

『あれっ?大学病院の人事権を握っているんでしょ?普通だよね?』と思われるかもしません。

そこに重大なポイントがあります。

実は大学病院の医局というものは関連病院(業界用語でジッツ)を持っているんです。そこに誰を配属させるかの人事権も持っています。

○○市民病院みたいな公立だろうと、○○赤十字病院だろうと関連病院として組み込まれていれば大学病院の医局が支配していることになります。

確か、帝京大学医学部では大学病院なのに東大病院の関連病院になっているということを聞いたことがあります。

つまり、ここで何が一番言いたいかというと『誰もが行きたがるような有名病院、ブランド病院は大学病院の医局に入らなければならない』ということです。

初期研修に限ってはその限りでなく自由なのですが、初期研修を終えて、晴れて一人前になった時に自分が望む病院がどこかの大学病院の関連病院ならば、その病院に採用してもらうのではなく、大元の大学病院の医局に入らなければなりません。

医局に関してもう少し・・・

実はこの医局というもの、自分たちの大学の医師でなければ入れない、というものではありません。要は千葉大学医学部卒業の医師でも東京大学医学部付属病院の医局に入れる訳です。

昔は母校以外の医局に入っても冷や飯を食うだけなので、そうとうな理由のある人以外は入局しなかったようですが、いまは違うようです。

東京や大阪、福岡などの旧帝国大学医学部があるような土地はまだまだ医局の力が強いですが、全体的には力が落ちてきてます。また、そもそもとして初期研修終わって医局に入局する人もかなり減っているので『どこの大学卒でも入局歓迎』状態のようです。

医局の意向には逆らえない

基本的に医局のボスである教授の意向には逆らえません。なので、教授の反感を買ってしまうと誰も行きたがらない関連病院にしか配属されません。

みんな行きたがらない病院は概して『田舎にある』、『症例数が少なく技術が身につかない』などがあります。

ちなみに、関連病院はかなり離れたところにもあります。例えば、東京大学医学部の関連病院が北海道にある可能性もありますし、京都大学医学部の関連病院が新潟にあるということもあり得ます。

せっかく東京ではたらきたいがために東大の医局に入ったのに地方に行く・・・なんて人も少なからずいます。

また、長くなってしまったので続きはパート3で!!