息子のインフルエンザを疑って病院にかかったら医者が診察して『インフルエンザじゃありませんよ』って言ったらあなたならどうしますか?

医学と医療

自分はまだ臨床の現場に出てませんから、あんまり偉そうなことは言えないのですが、インフルエンザの検査や薬に対してやるやらないで意味があるとかないとかあったとしても、母親が求めるならばとりあえず実施するのが良いのではないかと思います。

子を思う母の気持ちは論理ではなく感情です。いくら医学的に検査やタミフル等を処方するのが無意味でも、害がなければ良いんじゃないかと思います。

これは『子供の疾患を診て、母親の病を診ず』という状況であると思います。

ともすれば医療側は疾患のみにしか興味がありません。『母親の病?なにそれ、母親治療したら子供のインフル治るの?』とか言われちゃいそうです。

しかし、医療といえどサービス業のひとつだと思います。お客さんは子供と母親なので両方を満足させる必要があると思います。それは医学というよりも医療です。ツイッターを見ていると、少なくない数の医師が医学的な価値観で臨床しているなぁ・・・という感覚をもちます(特に勤務医)。

『クソ忙しい救急外来でそんなんやってられないよ!君も現場に出ればそう思うよ。』なんて言われると思います。

患者でごった返す救急外来に自分の息子が痙攣で運びこまれたら優先順位付けられて先に診てもらえるんなないでしょうか。少なくともインフルエンザ疑いの患者さんはすっ飛ばせると思います。それをしないで死亡や重度の後遺症を負ったら病院に責任があるのではないでしょうか。

それと、インフルエンザのウイルスが高濃度でたちこめる待合室で待つ爺さん婆さんがインフルエンザに罹患してもそれは自己責任だと思います。それを見てインフルエンザの検査をするとかしないとかの考えが変わることはないような気がします。

医療経済的側面

無駄な検査は医療経済的に問題である。

こういう意見もあると思います。確かに、国家予算に占める医療費は膨大であり、このままいけば日本の国家予算は医療費でつぶされてしまうと思います。

もちろん個々の医者も無駄な医療費を出さないようにするべきだとは思います。

インフルエンザ検査はどうやら6,000円程度で行えるようです。3割負担ならば2,000円程度です。この金額を高いか安いかは個々人の価値観で変わってくると思います。

しかし、この程度の金額を『無駄』として省いたとして、医療費全体にどれくらいのインパクトがあるのでしょうか?

インフルエンザの年間罹患者数は2,000万人程度とされています。全ての人が受診する訳ではないです。また、絶対検査したい、という人はどれくらいいるのでしょうか?

インフルエンザの検査は人数は多いかもしれませんが、一回あたりの金額はそこまで高くはないと思います。なので、人工透析のような一人当たりの金額が高く、必要な人(35万人弱)が少ない疾患をどうにか切り詰めるような政策の方が良いと思います。インフルエンザ検査の場合、実施の満足度も高いと思われます。

人工透析に限らず、無駄な胃瘻造設など無駄感のある高額な医療はたくさんあると思います。

医学的な正しさだけを追求しない

正直なところ、臨床は医学研究などとは異なり理論やエビデンスが常に正しいという世界ではないと思います。

医学的に正しいことを臨床の現場でも常に行う・・・というのは医者のエゴのような気がしています。

言い方はちょっと乱暴かもしれませんが、インフルエンザ検査が無意味だったとしても、説明した上でそれでも求めるならばさっさと実施してしまえばいいと思います。

検査すること自体には害はないと思います。

自分の医学的知識や価値観を患者に押し付けるのは、このインフルエンザ検査の場合は間違っていると思います。

というか、どの病院も売り上げを確保するのが大事な世の中になっていると思います。だから、ちゃっちゃと検査して処方箋だしてガンガンインフルエンザ患者を捌いて科の売り上げに貢献すればいいのに・・・なんて思います。