また医師の大量退職問題が噴出しました。詳細はわかりませんが、我慢ならないことが積もり積もったのでしょう。

市立大津市民病院

滋賀県大津市の病院である。病床は439床なので中規模というところでしょうか。

診療科は”心臓血管外科”が単独であるのでけっこう揃っている感じがします。

病院を充実度を測る指標として自分は病床数と心臓血管外科が単独であるかどうかをみています。

心臓血管外科ってやっぱり難しいし、単独で科をもっているってけっこうすごいな、と。異論は認めます。あくまで個人的感覚。

それと24時間ERとヘリポートがあるようです。

市消防局によると、昨年1年間に救急搬送した約1万6千人のうち、24・7%にあたる4044人は市民病院が受け入れたという。引用元ヤフーニュース

救急搬送の1/4がひとつの病院にかたまっているのは多いと思いますが、4044人しか受け入れてないのかな・・・と思ってしまいます。

救急かの医師が何人いるのかわからないのでなんとも言えないですが・・・。

自分が病院見学をしてみてきた病院の方がもっと受け入れ数がありますが、そこまで忙しいという印象はなかったです。

おそらく4,044人という人数は間違っているか、定義が異なるのかでしょう。

救急医とは?

一般的なイメージとしては『救急車で運ばれた時に対応してくれる医者』というところでしょう。おおむね正解です。

救急車でなくとも、歩いて病院の救急科にくる人もいます。

主な診療テリトリーは熱傷と中毒です。

その他の疾患は鑑別して自分たちで完結できるなら治療して、無理なら他科へ相談して処置してもらいます。

救急医というとコードブルーみたいに、交通事故で多発外傷となった患者をテキパキと救う・・・というイメージがありますが、実際はそんな救急医は少ないです。

外傷外科医

そういうレベルの高い救急医は外傷を専門的に学んだ医師に限りますが、日本にはまだ外傷専門医は少ないです。

外傷は消化器外科の知識をベースとして、麻酔・蘇生の知識、全身の内科的知識、整形外科的知識、呼吸器の知識が必要となってきます。欲を言えば形成外科の知識も必要です。

アメリカなどはトラウマセンター(トラウマ=外傷)という形で高度外傷の症例を集めているので研鑽する場所があるので発達しています。

一方、日本では何ヶ所かそのような病院はありますが、基本的には無いです。

日本では救急医を含めて外傷外科医の立場が低いのが一因だと思います。

救急科という概念は比較的新しいものであり、古株の外科医の先生とかは救急科を下にみてきます。

なので、腹部外傷で運ばれてきた患者を救急科で担当しようとすると、仕事を奪われた!という感じで喧嘩になってしまうケースが散見されるようです。

これについては今回の大津市立市民病院の大量退職とは関係ないと思いますが・・・。

日本で多発外傷をみれる病院はいくつあるか?

実は多発外傷(要は瀕死の交通事故とか)をきちんと診療できる病院は数が限られているみたいです。

これは外傷外科の権威と言われる先生から直接聞いた話です。

きちんとみれる病院はざっくりと各都道府県にひとつかふたつ程度らしいです。病院もないが外傷外科医もまだまだ少ないようです。

自動運転なんてのも出てきだした現代、交通事故も少なくなっているので外傷外科医の需要も将来的には少ないのも一因かもしれません。

さて、今の外科の主流は部位別に分けて診療、です。

消化器ならば肝胆膵グループ、上部消化管、下部消化管とかに分かれます。自分が担当していない部位は基本的には得意でないので扱わないです。

ですので、外傷外科医がいない病院で腹部の広範な損傷があった場合、全部をトータルで対応できる人材がいません。

多発外傷になれば腹部だけでなくて、脳の損傷もあります。心臓だって損傷しているかもしれません。

こうなってくると、該当の外科医が集まって『脳が先』とか『いや腹部でしょ!?』とか論議になる場合が多いです。

そうこうしているうちに患者はどんどんバイタルが落ちていき、ついには死んでしまいます。

交通事故では、現実にそういうようなことが起こっているようです。

外傷外科医が救急科をコントロールしている病院であれば適切な治療方針のもと診療が続けられます。

だいたいは出血の管理が一番大事だと言われています。出血さえコントロールできればあとはなんとかなる(脳損傷時は別)と言ってました。

ですので、自分の生活エリアでどこの病院が外傷に強いのかを知っておくことは大事かもしれません。

もし、大事な自分の子供が事故にあった場合、外傷に強い病院を指定した方が命が助かる可能性が大きいです。