物心ついた時代から『医師不足』は日本医療界の普遍的テーマになっていると思います。かなり前からこれに対応するために医学部の定員を増やしてきているんですが、結果はでてるんでしょうか?

不足よりも偏在

絶対数が足りているか足りてないは正直なところわかりません。色々な数字が厚生労働省から発表されていますが、それを正しく分析するのは至難の技です。

ただ、ひとつ確実に言えることは『都会部と地方部との偏在』これは真実だといえるでしょう。

都会には医師が集まり、田舎には医師が集まりません。

田舎の医師は給料が都会部と比べて高いのですが、全然集まりません。

第二の偏在

医師の配置的偏在に加えて診療科の偏在もあります。

日本では、医師は医師免許を持っていればどの診療科を標榜することができます。

ですので、自分がやりたい診療科にいつでもなれます。ただ、医学部時代の勉強だけでは臨床で使えないので、診療科を標榜してもある程度臨床経験を積まないと意味がありません。

自由に診療科が選べるということは、つまり、人気の診療科に人が集まります。

人気の診療科は整形外科、消化器系、循環器系などが人気です。

一方、小児科、産婦人科、麻酔科(東日本)は不人気です。

不人気ということは医師数が足りていないということで、そこで働いている医師たちはかなり忙しく疲弊しています。

面白いのは麻酔科です。西日本ではそこまで人数が少なくない科ですが、東日本ではかなり人材が枯渇しています。

数の論理

医療系の世界では『数の論理』が大事なケースがあります。

結局、頭数がいないと話がはじまらないところがあります。

どこの病院でも患者さんはあふれています。しかし、担当の医者が少ないと一人当たりにかける時間も短くなりますし、診察も雑になります。

一方、豊富に医師のいる病院は余裕があるので、しっかりとした診療が可能です。

基本的に人数がいようといまいと医師の給料は変わらないと思います。つまり、医者の数が多い病院は給料が低くなる、ということはないと思います。

というよりかは、医師が働きたいと思える病院は給料が低く設定されているということです。決して、人数の多寡で決まっているわけでないと思います。

偏在はどうやって解消する?

いま地方部を中心に卒後10年程度地域に残って診療する『地域枠』という入学経路があります。

これは比較的学力が低くて入れる医学部の入試経路で、その代わりに地域に残って医療を提供するというものです。

この制度はある程度奏功しています。

しかし、地域に残るという誓約を破ってノルマを達成する前に地域から脱出する層も10%程度はいるそうです。

診療科の偏在解消として、専門機構(医師になってから5~8年目くらいで取れる資格。それなりにその領域ならば信頼できる証)が各都道府県で専門医のプログラムに申し込める人数上限を定めたらしいです。ですがどれくらいこれが偏在に影響するかはまだわかりません。