自治医科大学は5年生までで講義や実習を終わらせるカリキュラムで6年生は1年間国家試験の勉強を行う。

地域医療の実践者・自治医科大学

自治医科大学は栃木県にある私立の大学です。一般的な医学部とはかなり異なります。各都道府県ごとに入学定員が決まっています。だいたい2〜4名くらいです。なので、学生は全国津々浦々から集まってくることになります。卒業後は地元の地域医療、特に僻地医療に従事することになります。しかもその義務年限は9年間になります。ただ、義務年限をこなせば入学金や授業料が免除となります(義務年限をこなさないと一括でお金を払うことになる)。

各都道府県によって地域医療の人数的な充足は異なりますし、離島があったりなかったりします。大阪などは僻地的なところが少ないようで、一般的な医学部の地域枠的な状態となっており、自治医科大学への入学枠が不必要になっているところもあるようです。

卒業後の義務年限中は都道府県に人事異動の権限があるようです。基本的には僻地の小さな診療所だったり小規模の病院に派遣されるようです。

自治医卒生の悩み

都道府県によってかなり異なるとは思いますが、自治医卒の先生はキャリアの悩みを抱えることが多そうです。

9年間は僻地の病院で勤めなければならないため、自分がなりたい診療科は10年目からスタートすることになります。基本的にはプライマリケアや総合診療を行うので、これらの専門医は取ろうと思えば取れるようですが、現実にはけっこう難しいようです。年間に何週かは行きたい病院に行って研修を行えるようですが、これも現実的にはそこまでのテクニックは学べないようです。

また、病院には自治医大卒の先生しかいない場合が多く、きちんとした指導医の元に臨床能力を磨いてくのは厳しいようです。しかし、そもそもの能力が高い先生が多いためなんとか運営はできている・・・みたいです。

地域枠ではなく僻地枠

自治医大の学生は地域枠でもあり、さらに厳しい制約のある僻地枠であるともいえます。

よく『地域枠で縛られるなんてイヤ』とか『そもそも地域枠に法的拘束力はない』などと地域枠の学生は吠えていますが、自治医大の学生よりかは恵まれている環境ではないかと思います。自治医大の先生の場合、義務年限中は現実的に大学への入局はできませんし、総合診療・家庭医しか診療科は選べません。一方、地域枠は僻地に行く必要はなく、初期研修後は自分の好きな診療科への進路が開けています。地域枠の人はいま一度、地域医療がやりたいと思っていた頃を思い出してしっかりとその役割を果たしてもらいたいと思います。