優れた臨床医になるつもりがない人は思うがままの研修病院を選ぶのがいいと思う。

ハイポ病院では優れた臨床医にはなれない

ハイパー病院を「初期研修に(本当に)力を入れている病院」、ハイポ病院を「初期研修には特に力をいれていない病院」と定義します。ハイパー病院はしっかりとした研修ができることと引き換えに多くの労働を伴います(症例経験を積めるともいえる)。一方、ハイポ病院はそれなりの研修メニューしかできないことと引き換えにプライベートな時間を確保できます。

医者の仕事はとにかく経験が重要です。見たことない疾患、やったことのない手技は絶対にできません。これは1年以上臨床実習をして大学病院や市中病院、はたまた多くの病院見学を通して感じたことです。スポーツで練習しなくてもセンスだけで好成績を叩き出す新庄剛志みたいな人は医療の世界にはまずいないと言っていいでしょう。

先輩はしばしば「初期研修病院なんてどこ行っても同じ。3年目からが重要。」的なことを言いますが、恐らく間違い。やはり優れた臨床医になるためにはハイパー病院で初期研修を行い、ハイパー病院で後期研修を行う必要があると思います。3年目で大学の医局に入り、大学病院勤務をスタートする人も多いと思いますが、このコースは優れた臨床医というよりか、優れた研究医、専門医といったほうがいいかもしれません。大学の医局に入るケースでも市中のハイパー病院で初期研修をして救急対応やプライマリケアを学んでおくことは後の医師人生において貴重な糧となるでしょう。

世の中の90%の病院はハイポ病院です。もちろん、ハイポの程度もあるのでハイポ群の中でもピンキリです。ハイパーも同様にピンキリです。世の中の90%の医師がハイポ出身となるわけですから前述の「初期研修病院なんてどこ行っても同じ。3年目からが重要。」という言葉がでてくる訳です。

医者も10年やればみんな同じスキル

これもよく言われる言葉です。ハイパー病院だと働き始めてからの伸び率が高く、10年目あたりでプラトーになります。一方、ハイポ病院だと最初は伸び率が低く、後半から伸び率が上がります。結果、ハイパーでもハイポでも10年目になればだいたい同じ能力となる・・・というカラクリです。

確かにこれはそうなのかもしれません。しかし、あくまで平均的なお話であります。ハイパー病院出身者は伸び率が変わらずに高く保つ人がいる一方、ハイポ病院は伸び率が上がらないまま10年目を迎える人もいるはずです。

違う観点から説明。10年目で同じようなスキルになるのはハイパー病院にいる人の中でもやる気が無い人とハイポ病院の中でやる気のある人とも言えます。

優れた臨床医とは?

これの説明は難しいですが「正しいプライマリケアができて、医師としての基本的スキルが身についていて、専門について詳しいが専門外のことにも精通していて、病院の運営にも貢献している医師」というところでしょうか。そんな医師いるのか!?