実際、3つに1つの班が問題を起こして内部崩壊している現実。

実習は仲が悪くなる要素がある

医学部の5年生は大学病院の各科を1〜2週間でローテションして実習します。これをクリニカルクラークシップ(クリクラ)とかベッドサイドラーニング(BSL)とか単に実習とか呼んでいます。

実習は4〜6人くらいの班で周ります。班の決め方は大学によって違うと思いますが、基本的には名簿順に男女均等になるように割り振られるところが多いと思います。

まず、班割りで問題が起こります。なぜなら、単純に名簿順で決めてしまうと名簿の隣同士で仲が悪い人がいたりすると『こいつと一緒の班は絶対嫌!』といってチェンジを要求しだすからです。ひとつふたつくらいならチェンジしても構いませんが、そういうことならわたしもわたしも・・・といって際限がなくなることもあります。また、どの班からもNGが出るような人がいるとその人をどの班が受け入れるのか?といった問題も生じてきます。

今年はコロナの関係でかなり実習期間が短くなったから良いですが、通常であれば1年間その班で過ごすので、どうしても嫌な人がいたら精神的には辛いですね。自分は偶然にも班員に嫌な人がひとりもいなかったのでラッキーでした。

毎日の実習に潜むワナ

実習が始まった当初は仲の良さそうだった班も、実習が進むにつれて内部崩壊する例もあります。

人によって負担が異なるケースが挙げられます。例えば消化器外科のケースを考えてみます。大学病院の消化器外科はたいていいくつかのグループに分かれています。肝胆膵グループ、上部消化管グループ、下部消化管グループという分け方が一般的のような気がします。学生はこれらのグループに割り振られて実習します。実習期間のすべてをひとつのグループで行うこともありますし、1週間単位で各グループをローテーションするケースもあります。でも、ローテーションするのはかなり煩雑になるので、ひとつのグループでやることが多いと思います。そうなると、あるグループは手術数が少なかったり、またあるグループの手術は長い手術だったり・・・と手術の負担が学生で異なってきます。消化器の手術といっても、4時間程度で終わるものから食道がんの手術など12時間くらいかかるものもあります。

各グループにどうやって学生を振り分けるかは学生に委ねられていることが多いと思います。なので、毎回じゃんけんで決める班もありますし、毎回話し合いによって決める班もあります。お互い気遣いのできない班員が多いと『私、前回◯◯科で辛かったから今回は楽なグループにして』という感じで自己主張して『いや通常通りジャンケンで決める』などと意見衝突が生じます。

実習中の行動に潜むワナ

実習はタイムテーブルにしたがって行われますが、患者が多い(少ない)とか先生が急遽いないとか色々な状況によってマイナー修正が入ります。そうなると、集合時間や場所が異なったりするケースがあります。そういった連絡がきちんと班員全員に伝わらないケースもあり、そうなると、置いてけぼりをくらった学生が出てきます。仲の良い班ならばグループラインで速攻連絡して終わりですが、仲の悪い班だとそういった細かいところがおろそかになりがちです。

また、実習は機敏な動きを求められるケースも多く、自分で気づいて指導医についていかないと置いてけぼりをくらいます。常に指導医が誘導してくれるとは限らないからです。例えば、とある検査を見学する実習で始まるまで休憩室で待機、という状況があったとします。こういう時にうっかりトイレに行っているうちに検査が始まってしまうと、仲の良い班ならラインで連絡してくれますが、仲が悪いとライン連絡はなく、トイレを済ませて休憩室に戻るとみんながいない・・・なんていう状況が生じます。

ラインでさっと連絡してくれれば解決するような問題でも、仲が悪い班だと連絡してくれないのでさらに仲が悪くなり、内部崩壊する・・・というわけです。

内部崩壊した班の見分けかた

内部崩壊している班の見分けかたは簡単です。

昼食を班員全員で食べていることがあるか無いか?を調べるだけです。回る科によっても異なりますが、だいたい昼休みは一斉に取ることが多いです。常にではないですが、仲の良い班は全員一緒に食べるケースが多いです。一回でも全員一緒に昼食を食べていれば仲が良い班と言えるのではないでしょうか。逆に仲が悪い班は全員一緒になることは一度もないでしょう。