東京医科大学の不正入試を皮切りに私立を中心とした全国の医学部で女子差別、多浪差別が明るみにでました。その後の最初の入試である2019年の結果が出揃いました。

女子・多浪生の躍進

全国81の医学部での合格率

男子:11.51% → 11.86%
女子:9.46% → 10.91%

昭和大、日本大、山梨大など計26校で女子の合格率が男子を上回った模様。

なお、文部科学省に女子差別を指摘されていた東京医科大、順天堂大、北里大と、その疑いを指摘された聖マリアンナ医科大の4校の合格率は男子12・12%、女子13・50%であった。

読売新聞 「不正排除した」医学部女子合格率、男子超える

本来の女子の実力が反映されているのならそれは良いことであると思う。

東京医科大学の結果

さて問題の大元の東京医科大学の結果はどうであったのか?

男子:9.04% → 19.84%
女子:2.91% → 20.21%

以上の通りです。

まず受験者数が相当減っていることがわかります。そして、女子の躍進、というかこれが普通の結果なのでしょう。不正を行なってなければ男子も女子も同じくらい受かっていた訳ですね。

ちなみ順天堂大は、

男子:10.08% → 7.72%
女子:5.23% → 8.28%

北里大は、

男子:9.11% → 15.66%
女子:10.63% → 20.28%

いずれも女子の躍進が目立ちます。

なぜ女子の合格率が増えた?

女子の合格率が増えた理由は報道によると、

”不正を排除した結果”
”女性の面接官を増やした結果”

などとありました。

女性の面接官を増やした結果、男子よりも女子の合格者が増える・・・というのはなんとも解せません。

どっちかというと、性差を基準に盛り込む男性面接官がいなくなった・・・という方がしっくりきます。ま、どっちでも同じですかね。

持論

性別による差別、年齢による差別があることは非常に問題であり、今回の事件でかなりそういった差別も縮小されたことは喜ばしく思います。

しかし、ちょっと気をつける必要とあると思っています。

医学部のような組織は横並びが往々にして生じます。つまりは医学部が横で連携して合格率を調整するようなことです。

やっぱり今回女子差別が明るみにでてしまった医学部においては女子の合格比率の上昇は必須です。

でも何も手を加えないと圧倒的に女子が多くなってしまっている場合(男4:女6とか)、他の医学部とも情報連携して『今年は男女比率これくらいでいきましょう』みたいなことをしていてもおかしくありません。

今回の結果は『女子が躍進、やっと正当評価される時代がきた!』と喜ぶべきものではないのかもしれません。本当はもっと女子の方が合格していたかもしれません。

以前の記事にもちょくちょく書いていますが、医療はシステムであり、医学部や医者というものもそのシステムに組み込まれる一部です。

医療システムは大規模な変更を行うと破綻する可能性が高いです。なので、今回の入試の結果も小さい変化に留められている可能性も否定できません。

面接点や小論文で点差をつけなくても、英語の和訳問題や数学の記述式、いくらでも女子に不利な採点をすることは可能です。

医療システムを変革しつつ、入試制度の更なる適正化をするのはなかなか難しい技なのかもしれませんが、関係者各位には頑張ってもらいたいものです。