医学は数の理論である

医学まわりで生きていくと、とどのつまり結局『数がものを言う』世界であるということがわかる。

もしかしたらこれは医学の世界以外でも同じことなのかもしれない。でも、特に医学の世界では顕著である。

例えば、外科医を考えてみよう。

手術やそれにまつわる手技などは数をこなさないとなんともならない。

術者の横に立って何千症例みてもゴッドハンドにはなれない。

要は理解していることと、やれることはまったく違う世界なのだ。

これは内科系にもいえる。

教科書的な知識をいくら詰め込んでも、目の前にいる患者さんは有機的な生物であるので、教科書通りにはいかない。

もちろん、数学とも違うので教科書に書いてあるような公式的医学的知識もあくまで参考値でしかない。

だから症例数が大事なのである。何千何万の患者さんを診察&診断&治療していくなかで、医師としての感覚を磨いていくのである。

確かに、診断が明らかな疾患であれば教科書的な知識と患者さんの見た目ですぐにわかる。

でも、大事なのはありふれた疾患の中に隠れている重要疾患を鑑別することなのである。

これは症例を積んでいかないと身につかない知恵である。

これは医学生の立場でも同じ事が言える。

例えば研修病院先を決定する病院見学。

これも究極的には数をこなして色々な病院を見てみないと自分の理想にはだどりつかない。

『病院見学なんて5年の夏に2〜3個行けばいい』なんていう先輩の言うことを真に受けていたら、自分に適する研修病院は見つからない。