まあ、プライマリケア医を育てると言う大義のスーパーローテも、
鼻出血をどこまでプライマリケアとして診るかみたいなところですら、統一した見解を広めれてないってこっちゃね。まあ、統一した見解がそもそもないしなあ。
— ピース松河 (@Rrs91Y2dDyHZpfQ) December 23, 2020
医者とは何か?という定義は大衆と集団としての医師で異なり、集団としての医師でも個々に異なる。故に医療は難しい。
医者の定義は?
医者の定義は人によってことなります。
非医者からなる大衆にとっての医者は『専門はあるものの、日常生活でよくあるような(骨折、出産、かぜ等)病気や怪我に対応できる人』だと思います。
医学部を出て初期研修が終われば、簡単そうな病気や怪我や一般的な出産には対応できるものと考えていると思います。しかし、医学部を出て初期研修を終えても、出産に対応できるようになるのは産科に力を入れているごく一部の初期研修病院に限られるでしょう。簡単そうな病気な怪我にはある程度対応できるかもしれません。
でも、初期研修を終え、各診療科の専攻医になってからはその診療科がカバーする疾患以外は見なくなります。呼吸器内科に進めば骨折など見ないですし、循環器内科に行っても風邪はみないと思います。なので、初期研修医を終えてすぐの頃はそういった簡単な病気や怪我(=プライマリケア)は対応できますが、数年後にはやらなくなってしまいます。やらないので、できなくなります。もう少しいえば、やろうと思えばやれるけどそれは専門の人がやれば良いと考えるので、結局はやらない・・・ということになります。
だから、多くの大衆は『医者なら風邪とか簡単な怪我なら誰でも対応できる』と考えていますが、実際は違います。専門に進んだ医者は専門のことしかやりません。
プライマリケアの軽視
いまの日本の医療はプライマリケアを軽視した体系となっています。研修体系もはっきりしませんし、指導医不足も目立つような気がします。全国的に必要なのに全国に1万人程度しかいません。
日本の医療は臓器別に分かれて専門性を深める形になっています。一方、プライマリケアは臓器別に分かれることとは対局にあり、全臓器横断です。しかも、小児も産科も老年医療も守備範囲です。地域の最前線の医療を守るのがプライマリケア医だと思います。過疎化もいっそうに進んで無医村だったり、村に診療所はあっても内科しかみれない・・・なんてのは地方の深刻な問題です。こういった地域に小児も産科も老年医療(整形外科も)もある程度できる内科医がいたら心強いですよね、それがプライマリケア医=総合診療医=家庭医だと思います。
プライマリケア医は病気だけをみるだけではなく、介護領域だったり、患者の家庭環境までも診る必要があります。特に高齢者は家庭状況まで突っ込んで介入しないと、結局、入院⇄家の往復となってしまい根本的な解決ができないと思います。
これからの日本にプライマリケア医は重要だと思うのですが、多くの医師からは重要視されていません。医師の世界は『どれだけ難しい疾患に対応できるか?手術ができるか?』ということが大事とされていますので、プライマリケア医を下に見ている・・・と僕は感じます。僕からすると、日本に100人しかいない病気を治せる医者も3,000人の町の簡単な医療を一手に受ける医者も同じくらい重要と思いますが、大多数の医者(医学生)はそう思っていないと思います。
自分はプライマリケアもバッチリできて、それを継続しつつ専門性も高めるようなキャリアを築いていきたいと思いますが、そんなことは可能かどうかわかりません。