病院実習での教授外来

教授の臨床技能もピンキリです。

教授外来

大学病院での病院実習のひとつとして、恐らくほぼ全ての科で行われているのが「教授の外来を見学」です。新規の患者さんの場合もありますし、外来通院している患者さんの場合もあります。

教授だからといって臨床能力が優れているとは限らないと感じます。学生レベルでみても、素晴らしいと思える教授がいる一方、こんな診察だとOSCE一発不合格だぞ・・・みたいな教授もいます。正直なところ、学生レベルだと診察・診断そのもの、つまり病気に関するところの良し悪しは分かりません。でも、医師ー患者、医師ーコメディカル間の医療的なコミュニケーションの良し悪しは学生でも分かります。

素晴らしい教授の外来

素晴らしい教授は新規の患者さんを診るときにまず「自分の名前」を名乗ります。これは学生がOSCEで学ぶ忘れてはならない絶対的なお約束です。2回目以降も行なった方がいいと思いますが、顔なじみになったら逆に省略しないと信頼感がないかもしれません。

素晴らしい教授は患者さんに説明するときに専門用語をなるべく使いません。専門用語は医療者間でないと伝わらないケースがほとんどなので、噛み砕いで伝わるように変換します。

素晴らしい教授は診察器具を丁寧に扱います。診察器具は金属製のものが多いです。一回使用すると専用の容器に回収され、洗浄されてまた戻ってきます。この容器に診察器具を入れるときにぶっきらぼうに投げ捨てて「ガチャン」とさせる教授がチラホラいます。素晴らしい教授はそっと音がしないように容器に捨てます。このガチャンという音は患者さんを不快にさせるだけでなく、恐怖(この人怒っている?)と思われます。

素晴らしい教授は患者さんの話すことを傾聴します。これも学生がOSCEで学ぶ初歩の初歩です。確かに患者さんの話すことはまとまりがなく聞いててモヤモヤすることもあるのは実際ですが、病気の感覚だったり、経過だったりを説明するのは難しいと思います。これを察して、患者さんがスムーズに話せるような雰囲気を作り、しゃべり切らせるのは素晴らしい教授の証だと思います。でも、混雑している時はある程度の遮りもしょうがないと思ったりもします。

素晴らしい教授はなるべくコメディカルに頼りません。マイクで患者さんを呼んでも、なかなか診察室に来ない人もたまにいます。そういう時に素晴らしい教授は看護師に命令するのではなく、自分で患者さんを探しに行って診察室に招き入れます。

ダメ教授の外来

ダメ教授は新規の外来で名を名乗りません。患者さんが診察室に入ってきても、挨拶するもなしにパソコンのモニターでカルテを見ながら「そこに座っててください」というばかりです。

ダメ教授は診察器具を手荒に扱います。素晴らしい教授の方でも説明しましたが、それとは対照的に「診察器具を使い済み用容器投げ捨てる」ので毎回ガチャンという大きい音がなり、患者さんも不快ですし、見ている学生もかなり不快です。特に耳鼻咽喉科の教授がこれをやったときには「この教授、耳鼻科の専門のくせに耳悪いのか?」とツッコミたくなりました。この教授は診察器具だけでなく、診察机にも物をぶっきらぼうに投げ置く人物で見ていて不快きわまりなかった記憶があります。

ダメ教授は専門用語を使います。下手するとそれなりに勉強してきた学生でもわからないような単語を平気で患者さんの説明に使います。

ダメ教授は患者さんの話を遮ります。ダメ教授は患者さんの話が冗長と感じると「わかった、わかった。」と言って患者の話を遮ります。本当にわかっているのかは微妙です。結局、ダメ教授の脳内シミュレーション予想なので当たってないケースも多いと思います。つまり、これまでの臨床による勘です。確かに勘も大事ですが・・・。

ダメ教授は患者さんに怒ります。ダメ教授は必要のないところで患者さんに対してキレます。自分が見たケースでは、教授が「それでは一旦、そとの待合室でお待ちください。」と患者さんに言ったところ、患者さんが確認したいことがあって「先生、次回の◯◯の検査のことなんですが・・・」と言った瞬間に「だから、それを決めるために一旦そこで待ってって言ってんの!」とキレ始めました。見ている学生側としては「それをいまから決めますからね〜、ちょっと時間かかるんで外でお待ちください。」と言うだけで済む話だと思うのにな〜、と感じました。

ダメ教授はコメディカルからも人気がありません。ダメ教授は自分以外の人間をバカにする傾向があります。我々学生もそうですが、コメディカルもバカにすることが多く、細かいことをネチネチと言ってくることが多く人気がありません。もちろん、医局員の医師からも人気がなく、触らぬ神にタタリなし、ということで誰も近寄らないです。