【マッチング2020講評】
・年々強まるハイポ志向が今年も続き地方の無名病院の空席が以前よりかなり減少
・地方の過疎化をまさに反映して地方大学病院の深刻な不人気(枠スッカスカ)
・都内は市中大学とも絶大たる人気
・その煽りを食らってか千葉埼玉神奈川のマッチング率も急上昇中
続く
— 令和の研修医 (@kenshuui_reiwa) October 22, 2020
本日は初期研修先が決まるマッチングの結果発表日でした。
全体的な感想
・やはり都内の病院は強い。ほとんどの病院がフルマッチ(採用枠が全部埋まる)している。
・埼玉、千葉、神奈川の去年まではフルマッチしそうになかった病院でもフルマッチしている。これはコロナによる地元志向(地元であればどこでもいい的な)かもしれない。
・旧帝の大学病院は人気、地方の国公立大学の大学病院は全く人気がない。
・産婦人科、小児の特化コースは全国的に人気がない。
・第一希望でマッチしている人は約71%。
・第二希望でマッチしている人は約16%。
・第三希望でマッチしている人は約8%。
・つまり三つの病院を受ければ95%はマッチしている。
冒頭のツイッターの埋め込みしている人も言っている通り、都内or都内に近いor大都市圏・給料良い・ハイポな病院の人気が益々高まっている感じがしますね。
地方の大学病院の二つの不人気原因
まずは大学病院の研修に魅力がない、が第一の理由です。都内や大都市圏の大学病院であれば他の市中病院とも競合するため研修内容も負けず劣らず良いものになっていると思います。また、私立医学部の卒業生は自大学で研修する傾向が強く、私立医学部は大都市圏にあるためやはり都内や大都市圏の病院は人気となり、競合が激しくなります。
一方、多くの地方には大学病院が県にひとつしかなく、競合する市中病院も数が少ないため、大学病院の初期研修のレベルは一向にあがりません。
もうひとつには『地域枠が2年後に医局に入るから初期研修医がいなくても問題ない。』です。地方の国公立大学の多くは地域枠を採用しており、その割合は多いところだと定員の50%くらいになります。地域枠の学生も大学病院が本気で初期研修医を育てる気がないのを知っているので多くの地域枠の学生は市中病院を選びます。なので、地方の大学病院は初期研修の数は少ないものの、専攻医の数はかなり確保されている状態です。だから、大学病院のマッチング率の低さだけをみて『ここの大学病院って今後大丈夫なの?』と考えるのは早計です。まあでも、それなりに確保されているだけで、絶対的な人数は足らないのは事実ではあります。
ツイッター上で多くの現役医師や研修医、学生などが『地方の大学病院ってマッチング率低すぎる・・・大丈夫?』的なことをつぶやいていますが、地方の大学病院はマッチングよりも2年後の入局が勝負です。こういうところは都内や大都市圏出身の方にはわからないと思います。逆に地方の出身者は都会の状況がいまひとつわかりません。同じ業界のことなのに、エリアが変われば全くことなった現実があるのが、医療の抱える問題の根本にあるような気がします。