昨日の平井大臣、田村大臣との2+1での合意事項は以下の三点。
診療報酬支払基金のワンクラウド化を活用し、支払基金を最大限効率化する。
安全性と信頼性をベースにオンライン診療を、初診も含め、原則解禁する。
オンライン診療は電話ではなく映像を原則化する。— 河野太郎 (@konotarogomame) October 9, 2020
ついに初診のオンライン診療が解禁しそうです。自分はオンライン診療は処方箋交付などの初診以外を除いて、原則反対です。
オンライン診療での初診
診療で一番大事なのは病歴聴取と身体診察だと思います。オンライン診療での初診では、病歴聴取はできても身体診察は非常に限られると思います。政府の発表では初診は『映像を用いる』とされていますが、ビデオ通話では色や形状、硬さなどはわかりませんので、身体診察には限りがあります。つまり、オンラインでの初診はかなりミスや見落としがある診察になってしまうと思います。おそらく、診察にミスや見落としがあってもそれは医師側の責任になると思います。なので、日本医師会などは既得権益の守る訳ではなく、診療に責任がもてないので反対していると思います。メリットよりもデメリットの方が目立つので、いざオンライン診療の初診が解禁されても、実際に採用する医療機関は少ないのではないでしょうか。皮膚科などは皮膚に患部があるので、ビデオ診療との相性は良いかもしれません。患部をビデオに写せばほとんどの病気は診断できるような気がします。見てわからなかったら『わからないのでクリニックに来て下さい。』と言えばいい気がします。内科だとビデオ映像上では問題がなくても重大な疾患が隠れているケースもあります。例えば、心筋梗塞です。心筋梗塞になると即倒してしまう人もいますが、なんとなく胸部絞扼感がする・・・程度の感覚しかない場合もありますので、オンライン診療ではただの疲れだったりストレスで片付けられてしまいます。そのあとで痛みが増強して救急車を呼ぶ・・・なんて流れになったらオンライン診療をした医師にはどのような責任があるのでしょうか?
オンライン診療を活用する層
オンライン診療を活用する層は20代〜50代のような気がします。60代以降だとあまりビデオ通話に慣れていないと思うので、利用者は限定的だと思います。働いている男性などはオンライン診療は歓迎かもしれません。日中なかなか病院には行けないと思うので、昼休みにスマホでオンライン診療できればかなり効率的です。ただ、どいういう人たちであってもオンライン診療だとできることは限定的ですし、責任をうまく回避するために、結局は『一度、病院に来て検査しましょう!』という流れになるのではないでしょうか?そうすると、結局、オンライン診療の意味はほとんど意味が無くなります。
オンライン診療に向いてること
オンライン診療に適しているのは現在治療中の病気に対するフォローだと思います。処方している薬の追加や新たに症状があったり、治療の途中経過の確認(例えば骨折など)などが向いているような気がします。わざわざ病院に行くまでもないけど、病院に行かなければできなかった業務がオンラインで完結できる・・・こういうのにオンライン診療が適しているでしょう。初診のような難しい場面での診療はオンラインには向いていないと思います。
地方の場合だと特に(初診でない)オンライン診療は歓迎されると思います。面積の広い都道府県の場合、通っている病院まで車で2時間かかる・・・なんてのは当たり前の世界なので、オンラインで済ませられることはオンラインで済ませられれば、患者側も医療者側も大幅に効率が上がります。