友人はけっこう多い方である。今回はある二人の友人について紹介してみたいと思う。
友人Aのこと
友人Aは医学部にしては稀に見る性格の良い男である。
何しても怒らないし、何を言っても怒らない。あんまり人の悪口も言わないし、文句も少ない。
『害のない人』と言えばそれまでだが、こういう人間は医学部の中では少数派だ。
男子からのウケもいいし、女子からも『オアシス』なんて呼ばれている。それほどマイルドな性格をしている。
見た目もややふっくらしてタヌキみたいな容貌。そこらへんも良い人具合を加速させているのだろう。
友人Bのこと
今度は友人Bである。
友人Bはかなり性格が悪い。常に人の悪口、揚げ足取りをしているような人間である。
同学ともあまり仲良くなく敵が多いタイプである。自分は何故かお互い響くことがあるみたいで、それなりに仲良くしている。が、いつ裏切るかわからないようなヤツなので常に警戒はしている。
東京の名門私立高校出身で実家は資産家、幼い頃から苦労したこともない様子である。そんな生活環境も彼の性格を形成してる一部なのかもしれない。
僕はよく彼のベンツでドライブや飯を食いに行っているのだが、会話の端々で鬱屈とした苦悩のようなものを感じる。金持ちも楽なもんじゃないのかもしれない。
対比的なふたり
友人Aと友人Bは性格においてかなり対比的な二人であると思う。
片や人気者、片や嫌われ者(を通り越して存在しないものとして関わらないようにされている)である。
実は医学を学ぶ者としても対比的なのである。
友人Aは性格や人気とは逆に勉強に対するモチベーションが低い。低すぎる。テストはだいたい再試組。やっとのことで進級しているのが現状である。
対して、友人Bは勉強においては学年トップレベル。暇さえあれば勉強しており、学年みんなの3歩ほど先を行っている。
例えば、CBTの勉強において、彼はCBT向けの勉強は医学部の低学年で終わらせており、この時期には国試の勉強をしていた。
ちなみに今は専門医がみるような参考書を読んでいるらしい。正直、自分はついていけないレベルである。
『性格が良い=良い医師』ではない!?
今回この二人の友人を対比してみたのは常に『性格が良い=良い医師』ではないということを伝えたかったからだ。
自分は友人Aが将来何科に進むかわからないし、実臨床にでた時にどういう医師になっているかはわからないが、彼に自分や家族を診てもらう、ということは絶対にしないだろう。
人当たりは良いが基本的に医療に対するモチベーションが低いのだ。ひとつひとつの事柄がいちいち適当なのだ。こういう医者に診てもらうのはちょっと嫌だ。
一方、友人Bには将来診て欲しいと思う。
性格は悪いが、こと医療においては責任感があり誠実である。しかし、ちょっと言葉の使い方が乱暴なところがあるが信頼はできるだろう。
患者としては優しい医者を求める傾向が強いようにみえる。
やはり医者というのはちょっと近寄り難いイメージだし、実際そうである。そうなると、優しく人当たりが良い医者だと安心するだろう。
しかし、表面的なコミュニケーション能力と診療能力は必ずしもリンクはしないので注意が必要だと思う。