つくづく『臨床医学は難しい』と感じます。下のツイッターの埋め込みにあるやりとりというのは臨床の現場でよくある光景なのだと思います・・・
患者「血をサラサラにする薬、TVで危険って言ってたから飲むのやめた」
私「えっ、どの薬ですか?」
患者「バイアスピリンとエフィエントとクレストール」
私「危険です!今日から再開してください!」
患者「いや、先生の処方が危険だって」
私「😱💀😱」
健康番組を過信する方は多いですね。
— 暇な医師 (@executivedoctor) 2019年6月22日
臨床医学の難しさ
臨床医学の難しさは『医学は突き詰めると何もわかっていない』というところだと思います。
教科書に書いてあるような有名な疾患であっても、その機序が100%判明しているものは無いと思います。
例えばクッシング症候群を考えてみたいと思います。
クッシング症候群はACTHが過剰に産生されることから生じる疾患です。その多くは下垂体腺腫に続発したり、ACTH産生腫瘍が生じたりすることからなります。
ここで言えることは『ACTHが過剰に産生されることにより何らかの身体的疾患を伴うものをクッシング症候群』と名付けただけ、ということです。
下垂体腺腫に続発することが多いですが、なぜ下垂体腺腫が生じるかまでは100%わかっていないはずです。
下垂体腺腫も腫瘍もないのにクッシング症候群と似た病態と呈する患者も世界を探せば何人かはいるでしょう。
考えられうる治療を行ってもなぜか治らない・・・というのは疾患について100%判明している訳じゃないから生じるのだと思います。
薬のはなし
病院から複数の薬をもらった時に『これって同時に飲んで大丈夫か?』なんて思った人はいませんか?
自分は思いました。
そして薬理学の教授に聞いてみましたところ『ほとんどの薬において飲み合わせは考えられてない』と言ってました。
薬効が似ているものとかは複数飲むと効きすぎてしまいますので、そういった注意喚起はあるようですが、作用が異なる薬では飲み合わせは考えられてないようです。
もしかしたら、まだ判明してない人体の作用によって飲み合わせが悪くて身体に悪影響があったり、逆に良い効果があるかもしれません。
将来自分が医師になった時は薬を処方するの、けっこう怖いなと思います。
どんでも医療はトンデモか?
世の中には『温めればガン細胞は死滅する』だとか『温泉で湯治することによって皮膚疾患が完治』みたいないわゆるトンデモ医療が氾濫しています。
こういった医療が氾濫する背景としてはやはり『医療が万能でない』からだと思います。
つまりはトンデモ医療だとしてもそれが効果的に効いてしまうケースも無くもないということです。
でも、治療の効果としてエビデンスがあるものを差し置いてまでトンデモ医療をするのはナンセンスですが、有効な治療法が無い疾患においてはトンデモ医療もそれなりにありなのかもしれない・・・と思います。
放射線治療が始まった頃は、トンデモ医療なんて評価を受けていたかもしれません。
いまトンデモと言われている医療が後年、その疾患の機序が判明されて妥当な治療と認められるもののあるかもしれません。
外科がエライ訳
『外科の先生は偉そう』というのが一般的なイメージです。
今までみてきた外科医の先生は確かに偉そうな人が多く、なんでそうなるのだろうか?と思っていました。
でも、外科は疾患を直接切って貼って治す訳ですから治療がハッキリしています。
内科のように薬が効かないとか機序が判明していない・・・なんてことがありません。
切って貼って上手くいけば完治、ダメなら失敗、と成果がハッキリしています。
ある意味、疾患を完璧(に見える感じで)治すのは外科しかないところにエラそうな外科医が生まれる土壌があるように思えます。