いまや不調があって病院に行ったらバンバンCTを撮影する時代になっています。このCT撮影の関わる費用について考えてみました。
当記事はあくまで一般的な医学生が書いたものですので、間違っている点もあると思います。詳細は自分で調べ、この記事では概要だけをつかんでもらうようにお願い致します。
基本的事項
医療費というものはすべて厚労省が主導になって決める『診療報酬』というものですべて決まっています。ただし、これは医療保険を使う場合に限ります。医療保険を使えば(年齢等によって異なりますが)診療点数に10をかけた額の3割が患者の実際の負担になります。
この診療報酬という考えの対局にあるのが自由診療における医療費です。自由診療だとすべての値段が設定者の自由となります。少し前に流行った『血液クレンジング』なんてのも自由診療なので、100万円の値段をつけようが、100円の値段をつけようがクリニックの自由です。
今回のCTの値段も医療保険を使った時のお話になります。
造影するか否かで変わってくる
CTといっても色々あります。大きくは単純CTか造影CTにわかれます。造影CTというのは血管から造影剤を入れて撮影するものです。血管に入った造影剤が放射線に反応して画像の濃度が変化します。血管が詰まっていたり、腫瘍の大きさや位置がわかったりします。腫瘍というのは血流が豊富なので周りの組織とコントラスができます。
単純CTだと機械の上に寝転んで撮影するだけですが、造影となると造影剤を入れる血管のルートを設置しなければなりませんので手間は多いです。また、造影剤に対するアレルギーがあったりすると大変なことになりますので、それに対するリスク管理も必要となってきます。また冒頭で示した画像にある通り、造影CTの場合は造影剤の値段が含まれます。これが約1,000点なので医療費としては10,000円(3割負担で考えると3,000円)となります。薬だけで3,000円負担と考えるとけっこうな値段になりますね。
放射線科医による診断料
撮影したCT画像は電子カルテに保存されます。もちろん、担当している医師もチェックしますが、CT撮影するような一般的な総合病院では放射線科の医師が診断をします。放射線科の医師は主に放射線画像の診断する医師、放射線を使った治療を行う医師に分かれますが、画像を診断する医師が画像診断します。
放射線科医の読影(画像を読むこと)は1ミリの異常を見分けるくらいに優れていますが、画像データだけではそれが腫瘍なのか悪性腫瘍なのか等を完全に判断することは難しいです。
放射線科医は、担当の医師が得た問診データ等を含んで画像診断していきます。そして、担当の医師はその画像診断の結果と自分の診察結果や他の検査などを総合して診断していきます。
放射線科医がいない病院の場合、他の病院や画像診断を専門にしているフリーの画像診断医などに読影を依頼したり、自分たちで読影します。
画像診断料は4,500円ですが、画像診断はけっこう重たい業務と責任があると思うのでちょっと安いかな・・・とは思います。
DPCによるCT撮影の場合
DPC(Diagnosis Procedure Combination;診断群分類)というものがあります。これは『特定の疾患については出来高払いと包括払いにします』という制度です。もっと簡単に言うと『急性虫垂炎(いわゆる盲腸)』の場合は医療費が固定で◯◯円です』というような制度です。例えば、何日入院しても、滞在中の血液検査を何回しても、CT撮影を何回してもこれらの包括部分の金額は一定となります。なのでこのDPCに該当する疾患の場合、病院はなるべく入院日数を短く、検査は最低限にするように努めます。しかし、部長などのベテラン以上にならないとあまりコスト感覚は無さそうなので若手の医師はあまり考えていない人が多そうです。救急外来などに行った場合はDPCとは関係がないと思いますので、撮ればとるほどお金がかかると思います。
これはCT撮影だけの金額
今回ご紹介したのはCT撮影に関わる金額の概算です。ですので、この他にも血液検査すればそれば別途かかりますし、初診料などの基本的な料金などもありますので、それなりの金額になると思います。一般的に、医師はあんまりかかる費用のことを患者さんには言わない傾向があるように思います。恐らく、金額に関わらずやらなければいけない検査はやるので聞くあえて話す必要がないと考えているのかもしれません。かかる費用を患者に告げて『そんなにかかるならやらない』と言われたら面倒といえば面倒です。なので、それなりの金額がかかる場合に患者に概算の費用をきちんと伝えてくれる医師は誠実な医師なのかもしれません。