新型コロナ関連で世間が賑わっており、上記のエントリーにクリックが集まっている模様。
混合診療とは?
病院にかかるとき、通常は『保険診療』となるケースがほとんどである。でもこの『保険診療』ですが非医療者の場合、けっこう曖昧なまま行なっているケースが多いと思います。病院なりクリニックの受付で『保険証出してください。』と言われて出して、あとは診療されて料金を払って終わりだと多います。
通常の保険診療については上記のエントリーをみてもらえればだいたい分かると思います。細かいところを突っ込まれれば間違いもあるでしょうが、医療の保険を理解するには十分だと思います。
さて、混合診療です。
日本における病院での診療は『保険診療』と『自由診療』に分かれます。
保険診療は厚生労働省が制定したものです。主に医療は外来と入院に分かれるのですが、外来での処置や手技が点数化されており、その合計に対して医療費が決定されます。例えば、問診した・・・○点、注射打った・・・○点、処方箋書いた・・・○点、などといった形です。その点数は厚生労働省が決めています。合計点に10を掛けたものが医療費となり、通常、その3割を患者が負担します。入院の場合、だいたいはDPCといって病気の種類ごとに金額が決まってます。なので、入院中の処置とか薬代とかも、ひとつひとつに点数が決まっている訳でなく、まるっと一括で金額が決まります。話は少し逸れますが、病院側としてはなるべく省エネして(薬や処置や検査を少なくする)患者を退院まで持っていきたいと思っています。
一方、自由診療はそのクリニックが自由に値段設定できる診療です。美容外科クリニックなどをイメージすると良いと思います。また、不妊治療とかもほとんどが自由診療となります。自由診療は一般的なエビデンスのない治療法を行う場合や(国政労働省的に)病気とはいえない医療を行うものである、と言えます。しかし、保険診療に該当するものでも自由診療としてやろうと思えばできるので、自由診療を真に理解するのはけっこう難しいです。
さて、混合診療ですが、この保険診療と自由診療をひとつの疾患に対して同時に行うことを言います。
例えば、美容外科で顔を整形した。侵襲的な手術なので術前・術後に抗菌薬(抗生剤)を患者に保険診療として処方した・・・こういう場合は混合診療になります。美容外科の整形を自由診療で受けているので、その手術に関わることで薬を保険を使って渡すことは禁じられています。こういう場合、美容外科に内科クリニックを併設して、手術のあとに内科クリニックで適当な症状を述べて薬をもらってしまえば保険を使って抗菌薬を得ることは可能だと思います。しかし、実際は抗菌薬ってそこまで高くないと思いますので、美容外科の手術代に抗菌薬とかも含まれていると思います。
日常にある混合診療
例えばお腹の調子が悪くてノロウイルス感染を疑った場合が考えられます。ノロウイルスの検査は自由診療になりますので、検査を受けつつ薬をもらうことはできません。おそらく実務的には、ノロウイルスの検査を行なって会計を済ませ、その後に診療を行なって薬を出す・・・のような流れになると思います。厚生労働省の見解では自由診療と保険診療の会計がきちんと分かれていれば良い、みたいです。さすがに上記で述べてた美容外科クリニック的なところでは会計を分けたところで認められないと思いますが、一般的な総合病院ならこういった混合診療を保険と自由診療に分けて行うことも可能です。